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全70語行動経済学用語辞典の暗記カード
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行動経済学 Behavioral economics
行動経済学とは、心理学の知見を取り入れて、人が実際にどう判断し選ぶのかを調べる経済学の分野です。多くの人に同じ向きで起きる、予測できるずれに注目します。
合理的経済人(ホモ・エコノミカス) Homo economicus
合理的経済人とは、情報を完全に処理し、立てた計画をいつも実行し、自分の得だけを考える人という、伝統的な経済学が置いてきた前提上の人物です。
系統的なずれ Systematic deviation
系統的なずれとは、たまたまではなく、多くの人に同じ向きで繰り返し起きる、理論の予測からのずれのことです。向きが決まっているので予測に使えます。
限定合理性 Bounded rationality
限定合理性とは、人の知識や考える力には限りがあるため、すべての選択肢を比べて最善を選ぶことはできないという考え方です。経済学者ハーバート・サイモンが提唱しました。
満足化 Satisficing
満足化とは、最善の選択肢を探し続けるのではなく、「これで十分」と思える水準を満たした選択肢で決める判断のしかたです。
二重過程理論 Dual-process theory
二重過程理論とは、人の考え方には、速く自動的に働く直感的な思考と、遅く努力して働く熟考的な思考の2種類があるとする考え方です。
ヒューリスティクス Heuristics
ヒューリスティクスとは、複雑な判断を手早く済ませるために人が使う経験則や近道のことです。便利な一方で、決まった向きのずれを生むことがあります。
認知バイアス Cognitive bias
認知バイアスとは、人の判断や記憶が、論理や確率の原則から決まった向きにずれる傾向のことです。
代表性ヒューリスティック Representativeness heuristic
代表性ヒューリスティックとは、ある物事がどれだけ「それらしいか」で、その確率を判断する近道です。全体の中での割合を見落としやすくなります。
利用可能性ヒューリスティック Availability heuristic
利用可能性ヒューリスティックとは、例をどれだけ思い出しやすいかで、物事の多さや起こりやすさを判断する近道です。
アンカリング Anchoring
アンカリングとは、最初に示された数字などが基準(いかり)になり、その後の見積もりや判断がその数字に引き寄せられる現象です。
少数の法則 Law of small numbers
少数の法則とは、少ないデータから得た結果を、多いデータと同じくらい確かなものと思い込んでしまう判断のくせです。確率論の「大数の法則」をもじった呼び名です。
期待効用理論 Expected utility theory
期待効用理論とは、結果がわからない選択で、人はそれぞれの結果の満足度を確率で重みづけして合計し、最も大きい選択肢を選ぶとする伝統的な経済理論です。
プロスペクト理論 Prospect theory
プロスペクト理論とは、カーネマンとトベルスキーが提案した、リスクのある選択の理論です。人は結果を、全財産ではなく参照点からの損と得で評価すると考えます。
損失回避 Loss aversion
損失回避とは、同じ大きさの損と得なら、得る喜びより失う痛みのほうを強く感じる傾向のことです。
参照点 Reference point
参照点とは、損か得かを判断するときの基準になる点のことです。今の状態や、買ったときの値段、見かけた最安値などが参照点になります。
フレーミング効果 Framing effect
フレーミング効果とは、中身が同じでも、言い方や見せ方(枠組み)が変わるだけで、人の選択が変わる現象です。
保有効果 Endowment effect
保有効果とは、同じ物でも、自分が持っているときのほうが、持っていないときより高く評価する傾向のことです。手放すことを損と感じるためと説明されます。
現状維持バイアス Status quo bias
現状維持バイアスとは、変えたほうがよい場合でも、今の状態をそのまま続ける選択をしやすい傾向のことです。
メンタル・アカウンティング(心の会計) Mental accounting
メンタル・アカウンティングとは、お金を心の中で生活費・旅行費などの目的別の口座に分けて管理し、全体ではなく口座ごとに判断するくせのことです。セイラーが理論にしました。
ハウスマネー効果 House money effect
ハウスマネー効果とは、もうけたばかりのお金は失っても痛みが小さく感じられ、より大きなリスクを取りやすくなる傾向のことです。
サンクコスト(埋没費用) Sunk cost
サンクコストとは、すでに支払っていて、この先どう選んでも取り戻せない費用のことです。合理的には判断に入れるべきではありませんが、人はこだわりがちです。
時間割引 Time discounting
時間割引とは、同じ金額や楽しみでも、手に入るのが先になるほど価値を小さく感じることです。
現在バイアス Present bias
現在バイアスとは、将来どうしの比較では待てるのに、「今すぐ」が選択肢に入ると、目先の小さな得を選びやすくなる傾向のことです。
プランナー・ドーアー・モデル Planner-doer model
プランナー・ドーアー・モデルとは、長い目で計画する自分(プランナー)と、目先の楽しみで動く自分(ドーアー)の綱引きとして、自制の問題を説明するモデルです。セイラーとシェフリンが作りました。
コミットメント手段 Commitment device
コミットメント手段とは、将来の自分が誘惑に負けないよう、先に選択肢を減らしたり約束をしたりしておく工夫のことです。
社会的選好 Social preferences
社会的選好とは、自分の得だけでなく、公平さや他人の利益・不利益も気にかけて選ぶ人の好みのことです。
最後通牒ゲーム Ultimatum game
最後通牒ゲームとは、一人がお金の分け方を提案し、もう一人が受け入れるか断るかを決め、断ると二人とも受け取れない実験です。不公平な提案は断られやすいことが知られています。
独裁者ゲーム Dictator game
独裁者ゲームとは、一人がお金の分け方を決め、相手は断れずにそのまま受け取る実験です。断られる心配がなくても人がどれだけ分けるかで、公平さへの態度を測ります。
ナッジ Nudge
ナッジとは、選択を禁じたり経済的な損得を大きく変えたりせずに、人の行動を予測できる形で変える工夫のことです。セイラーとサンスティーンが広めました。
選択アーキテクチャ Choice architecture
選択アーキテクチャとは、人が何かを選ぶときの環境のことです。選択肢の並べ方や初期設定、情報の示し方などを含みます。
デフォルト(初期設定) Default option
デフォルトとは、自分で何も選ばなかったときに、そのまま適用される選択肢のことです。人は初期設定のまま過ごしやすいため、政策でもよく使われます。
社会規範メッセージ Social norm message
社会規範メッセージとは、ほかの人の行動や、集団で望ましいとされる水準を伝えて行動を後押しする方法です。他の家庭と比べる省エネレポートが一例です。
ブースト Boost
ブーストとは、知識や技能を高めて、人が自分で主体的に選ぶ力を育てる政策の方法です。ナッジの次の考え方として検討されています。
ナッジ・ユニット Nudge unit
ナッジ・ユニットとは、行動経済学などの知見を政策に生かすために、政府や自治体に置かれる専門のチームのことです。英国や米国で先に作られました。
日本版ナッジ・ユニット(BEST) Behavioral Sciences Team
日本版ナッジ・ユニット(BEST)とは、2017年4月に環境省の呼びかけで発足した、府省庁・自治体・企業・研究者などが連携して行動科学を政策に生かす取り組みです。
EBPM(証拠に基づく政策立案) Evidence-based policymaking
EBPMとは、政策の効果を実証データなどの証拠で確かめ、その結果にもとづいて政策を作ったり見直したりする考え方です。
行動ファイナンス Behavioral finance
行動ファイナンスとは、人の判断のくせが、株式などの金融市場や投資の判断にどう影響するかを調べる分野です。セイラーやシラーらが切り開きました。
気質効果 Disposition effect
気質効果とは、投資で値上がりした株は早く売って利益を確定し、値下がりした株は「戻るまで」と持ち続けやすい傾向のことです。
実験経済学 Experimental economics
実験経済学とは、参加者に実際の報酬をかけて選んでもらう実験で、経済の理論や市場の仕組みを確かめる分野です。2002年にバーノン・スミスがノーベル経済学賞を受けました。
ランダム化比較試験(RCT) Randomized controlled trial
ランダム化比較試験とは、参加者をくじ引きのように無作為に2つ以上の組に分け、施策を受けた組と受けない組の結果を比べて効果を確かめる方法です。
再現性 Replicability
再現性とは、同じ方法で別の研究者が調べ直したときに、同じ結果が得られるかどうかのことです。行動科学では、有名な研究が追試で再現されない例も報告されています。
社会的ジレンマ Social dilemma
社会的ジレンマとは、一人ひとりは協力しないほうが得なのに、全員がそうすると全員が協力したときより悪くなる状況です。節電や資源の使いすぎなど、環境や地域の問題に広く見られます。
裏切り(非協力) Defection
裏切り(非協力)とは、社会的ジレンマで、みんなのための我慢をせず自分の得になるほうを選ぶことです。
フリーライダー Free rider
フリーライダーとは、みんなのためのものに費用を出さず、他の人が出したものの恩恵だけを受ける人です。ただ乗りとも言います。
囚人のジレンマ Prisoner's dilemma
囚人のジレンマとは、2人が協力か裏切りを選ぶとき、相手がどちらを選んでも裏切るほうが得なのに、2人とも裏切ると2人とも協力したより悪くなる状況のことです。
繰り返し囚人のジレンマ Iterated prisoner's dilemma
繰り返し囚人のジレンマとは、同じ相手と囚人のジレンマを何度も続けて行う形のことです。前の回の相手の出方に応じて、お返しや仕返しができます。
しっぺ返し Tit for tat
しっぺ返しとは、最初は協力し、その後は相手が前の回にしたことをそのまま返す作戦のことです。アクセルロッドが開いた繰り返し囚人のジレンマの大会で勝ちました。
共有地の悲劇 Tragedy of the commons
共有地の悲劇とは、誰でも使えて使うと減る資源が、一人ひとりの合理的な判断の積み重ねで使い尽くされてしまうことです。ハーディンが1968年に示しました。
過剰漁獲 Overfishing
過剰漁獲とは、魚の資源を、長く獲り続けられる水準を下回るまで獲ってしまうことです。FAOの2026年版白書では、2023年時点で評価された資源の37.6%がこの状態でした。
公共財ゲーム Public goods game
公共財ゲームとは、何人かが手持ちのお金を共同の箱に出し、増えたお金を出さなかった人も含めて等分する実験です。協力とただ乗り(フリーライダー)を調べるのに使われます。
条件付き協力者 Conditional cooperator
条件付き協力者とは、他の人が多く出すほど自分も多く出す人のことです。公共財ゲームの研究では、約半数がこのタイプでした。
利他的罰 Altruistic punishment
利他的罰とは、自分に費用がかかり何の得にもならないのに、協力しない人を罰することです。罰を与えられると、公共財ゲームの協力は保たれやすくなります。
設計原則 Design principles
設計原則とは、オストロムが、長く続いた共有地の管理に共通して見られる特徴を8つにまとめたものです。境界、みんなで決める仕組み、見回り、段階的な制裁などを含みます。
入会地 Iriai (Japanese village commons)
入会地とは、村の人たちが共同で使い、管理してきた山林や草地のことです。日本では江戸時代に広く見られ、村が入山の時期や罰則などのルールを定めていました。
段階的な制裁 Graduated sanctions
段階的な制裁とは、ルール違反への罰を最初は軽くし、違反の重さやくり返しに応じて重くしていくやり方です。オストロムの8つの設計原則の1つです。
願望水準 Aspiration level
願望水準とは、満足化で使う「これを超えればよい」という合格ラインのことです。人はこの基準を超える案が見つかった時点で、探すのをやめて選びます。
システム1 System 1
システム1とは、速く、自動的に、ほとんど努力なしに働く思考のことです。直感的な判断を生み出し、日常の判断の多くを担います。
システム2 System 2
システム2とは、遅く、意図して努力しながら働かせる思考のことです。計算や確認を担い、システム1の答えを見張る役目も持ちます。
認知反射テスト Cognitive Reflection Test (CRT)
認知反射テストとは、最初に浮かんだ答えを確かめ、誤りに気づく力を測る3問のテストです。フレデリックが2005年に発表しました。
規則性のある環境(妥当性の高い環境) High-validity environment
規則性のある環境とは、手がかりと、その後に起きる結果との間に安定したつながりがある環境です。こうした環境で長い練習とすぐ返るフィードバックを積むと、直感が本物の技能になります。
自信過剰(過信) Overconfidence
自信過剰とは、自分の判断の正しさを実際より高く感じることです。自信の強さは、判断が正しい証拠にはなりません。
選択過多 Choice overload
選択過多とは、選択肢が多すぎることで、選ぶ気や選んだものへの満足が下がるという現象です。いつも起きるわけではなく、比べにくい・好みがはっきりしないなどの条件で起きやすくなります。
メタ分析 Meta-analysis
メタ分析とは、同じテーマの多くの研究結果をまとめて、全体としての効果の大きさを数字で確かめる方法です。
属性の置き換え Attribute substitution
属性の置き換えとは、答えにくい問いを、知らないうちに関係のある答えやすい問いに置き換えて答えることです。カーネマンはヒューリスティクスの共通の仕組みとして説明しました。
連言錯誤 Conjunction fallacy
連言錯誤とは、「AかつB」という条件を足した話のほうが、「A」だけの話より確率が高いと判断してしまう誤りです。リンダ問題(Tversky & Kahneman 1983)で知られます。
基準率の無視 Base-rate neglect
基準率の無視とは、全体の中でどれくらい多いかというもともとの割合(基準率)を、判断のときに軽く見てしまうことです。
調整不足 Insufficient adjustment
調整不足とは、最初に見た数字を出発点に見積もるとき、そこからの動かし方が足りなくなりやすいことです。アンカリングが起きる理由の1つとされます。
大数の法則 Law of large numbers
大数の法則とは、データの数を増やすほど、結果が全体の本当の割合に近づいていくという統計学の性質です。少数の法則は、この法則を少ないデータにまで当てはめてしまう思い込みです。
サンプルサイズ(標本の大きさ) Sample size
サンプルサイズとは、調べたデータや人の数のことです。小さいほど結果がたまたま偏りやすく、ランキングの上位と下位の両方に現れやすくなります。