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自分の判断のくせを体験する

10問 ・ 登録不要 ・ 答えは送信されません ・ 更新日 2026-10-07

行動経済学の有名な実験を、自分でも体験できるページです。問題を読んで自分の答えを決めてから、研究の結果を開いてみてください。答えはどこにも送信されません。

このページは、あなたの性格や能力を測るものではありません。研究の結果は実験に参加した人たちの平均や割合で、答えが違っても間違いではありません。多くの人に同じ向きで起きやすい判断のくせを、体験して知るためのページです。

01体験する問題

1問ずつ、まず自分の答えを決めてから「研究の結果を見る」を開いてください。どの問題から始めてもかまいません。

  1. バットとボールの問題
  2. リンダ問題
  3. Kで始まる単語
  4. 大きい病院と小さい病院
  5. 確実な額か、賭けか
  6. 五分五分の賭けを受ける額
  7. 同じ中身の言い方の違い
  8. 同じ5ドルの値引き
  9. 今日か明日か、30日後か31日後か
  10. 最後通牒ゲーム

1. バットとボールの問題

バットとボールは合わせて1100円。バットはボールより1000円高い。ボールはいくらでしょう? すぐ浮かんだ答えを選んでください(金額は原典の1ドル10セントの問題を円に置き換えました)。

自分の答えを決めたら、研究の結果を見る
正解は50円です。原典の1ドル10セント版では、プリンストン大学の学生の50%、ミシガン大学の学生の56%が「10セント」(円の問題での「100円」)と誤答しました。

直感で浮かんだ答えを、確かめずにそのまま出してしまうくせです。速い思考はふだん役に立っていて、見張り役の遅い思考がゆるいと、もっともらしい答えが通ってしまいます。100円と浮かんでも、それは多くの人と同じ自然な反応です。

レッスン2-2 二重過程理論

出典: Frederick (2005) Journal of Economic Perspectives

2. リンダ問題

リンダは31歳、独身で、はっきり物を言う聡明な人です。学生時代は哲学を学び、差別や社会正義の問題に強い関心を持っていました。どちらがよりありそうだと思いますか?

自分の答えを決めたら、研究の結果を見る
カナダの大学生142人に尋ねると、85%が「銀行員で、女性運動に参加している」を選びました。けれども後者に当てはまる人は全員前者にも含まれるので、確率は前者のほうが必ず高いか等しくなります。

条件を足して話がそれらしくなるほど、ありそうに感じてしまうくせで、連言錯誤と呼びます。「いかにもリンダらしいか」で確率を判断する近道(代表性ヒューリスティック)が働くためです。後者を選んでも、多くの人と同じ自然な判断です。

レッスン3-2 代表性ヒューリスティック

出典: Tversky & Kahneman (1983) Psychological Review

3. Kで始まる単語

英語の文章で、Kが1文字目に来る単語と、Kが3文字目に来る単語。どちらが多いと思いますか?

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152人のうち105人が、調べた5つの文字の多くで「1文字目のほうが多い」と答えました。実際には5文字とも3文字目のほうが多く、Kは約2倍です。

例が頭に浮かびやすいものほど多いと感じるくせで、利用可能性ヒューリスティックと呼びます。Kで始まる単語は思い出しやすいので、多さの感覚がゆがみます。1文字目と答えても、記憶の仕組みから来る自然な判断です。

レッスン3-3 利用可能性ヒューリスティック

出典: Tversky & Kahneman (1973) Cognitive Psychology

4. 大きい病院と小さい病院

1日に約45人生まれる大きな病院と、約15人生まれる小さな病院。男の子が6割を超えた日を1年間数えると、多いのはどちらだと思いますか?

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大学生95人のうち53人が「ほぼ同じ」と答え、大きい病院と小さい病院を選んだ人は21人ずつでした。正解は小さな病院です(この講座の計算の目安では、1年で大きな病院が約25日、小さな病院が約55日)。

少ないデータでも全体と同じ傾向が出ると思い込むくせで、少数の法則と呼びます。人数が少ないほど、たまたま半々からずれた日が起きやすくなります。「ほぼ同じ」と答えた人は、この問題では多数派でした。

レッスン3-5 少数の法則

出典: Tversky & Kahneman (1974) Science

5. 確実な額か、賭けか

「80%の確率で4000もらえる」と「確実に3000もらえる」。あなたはどちらを選びますか?(金額は原典どおりイスラエルの通貨です)

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95人の80%が確実な3000を選びました。賭けの平均は3200で、確実な額より大きいのにです。ところが確率をどちらも4分の1にした「20%で4000」か「25%で3000」では、65%が4000のほうを選び、好みが逆転しました。

確率が100%になると、その選択肢を特に重く感じるくせで、確実性効果と呼びます。100%から25%への下がり方は、80%から20%より大きく感じられるのです。確実なほうを選んでも、間違いではありません。

レッスン4-4 確率の重みづけ レッスン4-2 プロスペクト理論

出典: Kahneman & Tversky (1979) Econometrica

6. 五分五分の賭けを受ける額

コイン投げで、負けたら25ドル失う賭けがあります。勝ったときにいくらもらえるなら、この賭けを受けますか?

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大学院生25人の答えの中央値は61ドルでした。負けの額を50ドル、100ドル、150ドルと変えても、必要な勝ちの額は101ドル、202ドル、280ドルと、およそ2倍でした。

同じ額なら、得る喜びより失う痛みを強く感じるくせで、損失回避と呼びます。この研究では、損を得の2.25倍重く感じると推定されました。ただし強さは人や場面で変わり、どの答えを選んでもおかしくありません。

レッスン4-3 損失回避

出典: Tversky & Kahneman (1992) Journal of Risk and Uncertainty

7. 同じ中身の言い方の違い

600人が亡くなると予想される病気への対策です。A「確実に200人が助かる」、B「3分の1の確率で600人全員が助かり、3分の2の確率で誰も助からない」。どちらを選びますか?

自分の答えを決めたら、研究の結果を見る
この「助かる」の言い方では、152人の72%がAを選びました。別の155人に「C 確実に400人が亡くなる」「D 3分の1の確率で誰も亡くならず、3分の2の確率で600人全員が亡くなる」と示すと、78%がDを選び、選択が逆転しました。約6300人の再現研究(2014年)でも同じ向きの効果が確かめられましたが、大きさは原典の約半分でした。

AとC、BとDは中身が同じなのに、言い方の枠組みで選択が変わるくせで、フレーミング効果と呼びます。得として示されると確実な案を、損として示されると賭けの案を選びやすくなります。どちらを選んでも、言い方に反応するのは自然なことです。

レッスン4-5 フレーミング効果

出典: Tversky & Kahneman (1981) Science

8. 同じ5ドルの値引き

上着と電卓を買う予定です。20分先の支店なら電卓が5ドル安くなります。電卓が15ドル(支店で10ドル)の場合と、125ドル(支店で120ドル)の場合、支店まで行きますか?

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1981年の研究では、15ドルの電卓では93人の68%が、125ドルの電卓では88人の29%が「行く」と答えました。ただし2025年の追試では、金額を当時のままにすると行く人は11%と7%とどちらも少なく、はっきりした差は出ませんでした。

節約を金額そのものではなく、元の値段に対する割合で感じがちなくせで、相対的思考と呼びます。15ドルの5ドルは3分の1ですが、125ドルの5ドルは4%です。追試の結果もあり、実際の買い物でどこまで強く出るかはまだはっきりしていないので、どの答えでも間違いではありません。

レッスン6-2 相対的思考

出典: Tversky & Kahneman (1981) Science / Li & Feldman (2025) Royal Society Open Science

9. 今日か明日か、30日後か31日後か

2つの質問に答えてください。(1) 今日の100ドルと明日の110ドル、どちらをもらいますか? (2) 30日後の100ドルと31日後の110ドルなら、どちらをもらいますか?

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30日後の100ドルより31日後の110ドルを選ぶ人が、今日の100ドルと明日の110ドルなら今日を選ぶことがあります。1日の差は同じなのに選ぶものが入れ替わり、これを選好の逆転と呼びます。ただ多くの実験は同じ時点で2つの質問を比べたもので、同じ人が30日後に本当に考えを変えるのかは、まだはっきりしていない点があります。

「今」と「少し先」の差を、遠い将来どうしの同じ差よりずっと大きく感じるくせで、現在バイアスと呼びます。30日たてば、遠かった選択も「今日か明日か」に変わるので、先に立てた計画が当日に覆りやすくなります。どの組み合わせを選んでも、責められるものではありません。

レッスン7-2 現在バイアス

出典: Frederick, Loewenstein & O'Donoghue (2002) Journal of Economic Literature

10. 最後通牒ゲーム

相手がお金の分け方を決め、あなたは受け入れるか断るかを選びます。断ると2人とも何ももらえません。あなたの取り分が全体の何%以上なら受け入れますか?

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ヘンリックらによると、工業社会では、取り分が20%未満の提案は40〜60%の確率で断られます。工業社会の平均の提案はおよそ44%で、5つの大陸の15の小規模な社会では、平均の提案がペルーのマチゲンガの26%からインドネシアのラマレラの58%まで開きました。

自分の得だけを考えるなら少しでも受け入れるはずですが、多くの人は損をしてでも不公平な提案を断ります。人は公平だと思う結果を頼りにし、欲張りすぎる相手を罰することをためらわないためです。どこで線を引くかは社会によっても大きく違い、どの答えも間違いではありません。

レッスン8-2 最後通牒ゲームと独裁者ゲーム

出典: Güth, Schmittberger & Schwarze (1982) JEBO / Henrich et al. (2001) American Economic Review

02このページについて

問題と研究の結果は、この講座のレッスン(執筆と監査を分けて確かめたもの)に書いてあることだけから作っています。くわしい出典は各レッスンの末尾にあります。

研究の結果は、その実験に参加した人たちの平均や割合です。あなたの答えが違っても、それは間違いでも異常でもありません。判断のくせは、多くの人に同じ向きで起きやすいというだけで、一人ひとりの答えを決めるものではありません。