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第14章 まとめ ・ レッスン14-2

学んだことを日常で使う。自分の選択を見直す手順

約5分 ・ 公開日 2026-10-06 ・ 更新日 2026-10-07

このレッスンの問い

最近の大きな買い物や契約を思い出してください。決める前に、何か自分に問いかけましたか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

前のレッスンの復習(1問)

本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。

レッスン14-1から

Q1. 14-1で確かめた、判断のくせの見方として正しいものはどれですか。

答えを見る

正解: 1. くせは誤りにもなるが、限りある頭で生きるための工夫でもある
ここがポイントです。考え方の近道は、すべてを考えきれない頭で素早く決めるための工夫でもあります。だから、くせを消すより上手に付き合う方法を考えます。

01大事な選択の前に、4つの問いで見直す

大事な選択の前には、講座で学んだ問いを自分に投げかけると、くせの影響に気づきやすくなります。

1つめは、示された言い方を逆にしても同じ答えかです(4-5)。2つめは、元値を隠して今の値段でも必要かです(5-4)。

3つめは、もう払った分を外して「今から始めるとしたら選ぶか」です(6-4)。4つめは、先の自分の手を縛る工夫があるかです(7-4)。

たとえば、まだ使える家電を「元値の半額」のセールで買い替えるか迷ったとします。元値を隠して今の値段で考えると、増えるのは出費と、まだ使える物を捨てる資源のむだかもしれません。4つの問いは、下の表にまとめました。

02意志より、環境と仕組みを変える

がまんには努力がいるので、自分の意志だけに頼らず、先に環境や仕組みを変えるほうが続きます。

第7章で見たように、計画どおりにできないのは意志の弱さだけが原因ではありません。だから、がまんする場面そのものを減らします。

給料が入ったら先に貯金する、スマホを別の部屋に置く、といった工夫です。第10章のデフォルトの力を、自分の暮らしの初期設定に使う発想です。

身を守る場面でも同じです。「必ず」「確実に増える」と言われたら本当に確実か確かめ(4-4)、根拠のない元値の表示に気をつけます(5-4)。品不足につけこむ高額転売に飛びつかないことも大切です(8-3)。

03研究の結果は、平均の話

研究の結果は多くの人の平均なので、自分に合うかは小さく試して確かめましょう。

第13章で見たとおり、有名な研究でも追試で揺らぐことがあります。この講座でも、ハウスマネー効果の実験は追試で再現されず、締め切りの実験は論文が撤回されました。

平均で効く工夫でも、一人ひとりに効くとは限りません。禁煙の約束口座では、申し込んだ人の66%が禁煙できず、預けたお金を失いました(7-4)。ここがポイントで、縛りは自分が守れる強さに合わせます。

どの工夫が誰に効くのかは、まだはっきりしていません。この講座は個別のお金や契約の助言をするものではないので、大きな判断は自分で確かめてから決めてください。

こんな場面で自分への問いかけ学んだレッスン
得か損かの言い方で示された逆の言い方にしても同じ答えか4-5
「必ず」「確実に」と言われた本当に確実かを確かめたか4-4
元値と値引き後が並んでいる元値を隠し、今の値段でも必要か5-4
続けるかやめるか迷う今から始めるとしたら選ぶか6-4
続けたい計画がある先に自分の手を縛る工夫はあるか7-4
最初から選ばれた設定がある自分で選び直しても同じか10-3
選択を見直す問いかけの表(この講座の各レッスンの内容をもとに作成)

あなたの場合は?

今、続けるかやめるか迷っていることはありますか?「今から始めるとしたら選ぶか」と問いかけてみましょう。

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. 大事な選択の前に問いかける。逆の言い方(4-5)、今の値段(5-4)、もう払った分を外す(6-4)、先の自分を縛る工夫(7-4)
  2. がまんには努力がいるので、意志より環境や仕組み(初期設定・ルール)を変える
  3. 研究の結果は平均の話。自分に合うかは小さく試し、縛りは守れる強さに合わせる

LESSON 14-2 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. 「もう払ったお金に引きずられていないか」を確かめる問いかけとして、最も適切なものはどれですか。

答えを見る

正解: 1. 今から始めるとしたら、これを選ぶか
払った分は続けてもやめても戻りません。今から始めるとしたら選ぶかと考えると、これから先の得と損だけで比べられます(6-4)。

Q2. 計画どおりに続けるための考え方として、この講座の内容に合うものはどれですか。

答えを見る

正解: 2. がまんには努力がいるので、環境や仕組みを先に変える
意志だけに頼る考え方は、講座の内容と合いません。プランナー・ドーアー・モデルでは、がまんに努力がいる仕組みの問題として考えます(7-3)。

日常の場面で考える

Q3. ネット通販で「通常価格30,000円→12,000円」の家電を見つけました。今の家電はまだ使えます。講座の手順に沿った考え方はどれですか。

答えを見る

正解: 2. 元値を隠し、12,000円を払ってでも今必要かで決める
元値との差は、必要かどうかを教えてくれません。元値を隠して今の値段で考えるのが5-4の手順です。

レッスン14-2はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第14章 まとめ のレッスン一覧
  1. 14-1講座の振り返り
  2. 14-2日常で使う
  3. 14-3学び続けるための資料

講座の目次(全14章)へ

出典(5件)
  1. 消費者庁「二重価格表示」(比較対照価格があいまい・実際と異なる場合の不当表示のおそれ、5-4の根拠)
  2. Ashraf, N., Karlan, D., & Yin, W. (2006). Tying Odysseus to the Mast: Evidence from a Commitment Savings Product in the Philippines. Quarterly Journal of Economics, 121(2), 635-672.(Yale ISPS の論文ページ。7-4の根拠)
  3. Thaler, R. H., & Benartzi, S. (2004). Save More Tomorrow: Using Behavioral Economics to Increase Employee Saving. Journal of Political Economy, 112(S1), S164-S187.(シカゴ大学ブース・スクールの論文ページ。7-4の根拠)
  4. Giné, X., Karlan, D., & Zinman, J. (2010). Put Your Money Where Your Butt Is: A Commitment Contract for Smoking Cessation. American Economic Journal: Applied Economics, 2(4), 213-235.(Innovations for Poverty Action 掲載版。申し込んだ人の66%が禁煙できなかった。7-4の根拠)
  5. Maier, M., et al. (2022). No evidence for nudging after adjusting for publication bias. PNAS, 119(31), e2200300119.(効果のばらつきが大きく、一部は有効の可能性。13-3の根拠)