HOME / ゼロから学ぶ行動経済学 / 講座 / 第12章 公共政策への応用 / 日本版ナッジ・ユニット

第12章 公共政策への応用 ・ レッスン12-2

日本版ナッジ・ユニット(BEST)とは?発足と広がり

約5分 ・ 公開日 2026-10-06 ・ 更新日 2026-10-07

このレッスンの問い

日本の役所でナッジを広めるチームは、どこの省が呼びかけて生まれたと思いますか?予想してから読んでみましょう。

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

前のレッスンの復習(1問)

本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。

レッスン12-1から

Q1. 行動経済学の知見を政策に生かす専門チームの先がけとして、2010年に作られたのはどれでしたか。

答えを見る

正解: 1. イギリス政府の Behavioural Insights Team
ここがポイント。イギリス政府が作った Behavioural Insights Team(BIT)が、ナッジ・ユニットの先がけでした。

012017年4月、環境省の呼びかけで発足

日本版ナッジ・ユニット(BEST)は、環境省のイニシアチブのもと、2017年4月に発足しました。

日本でナッジを政策に使う動きは、環境省から始まりました。省庁の中で初めてのナッジ専門チームを、環境省が先に作っていたからです。

きっかけは、国の制度でアメリカに派遣されていた職員が2015年に帰国したことです。現地で行動の知見が政策に浸透しているのを見て、環境省ナッジPT「プラチナ」を立ち上げました。

その後、2017年4月に省庁の枠を超えた日本版ナッジ・ユニット(BEST)が発足しました。同じ年の10月には行動経済学がノーベル経済学賞の分野に選ばれ、取り組みの追い風になりました。

02省庁・自治体・企業・研究者が対等に話し合う

BESTは役所だけの組織ではなく、産学政官民がそろう「オールジャパン」の取り組みです。

環境省の資料では、内閣府や厚生労働省、経済産業省など多くの省庁と自治体がつながる図が示されています。事務局は環境省に加え、横浜市のチームやNPO法人も務めています。

活動の中心は連絡会議です。テーマごとに参加者を変え、同じ立場で自由に議論します。

BESTは、ナッジを使うときの倫理チェックリストもまとめています。中身は10-5で学びましたね。

環境省は2017年度から、50万を超える世帯の協力で大規模な実証も行いました。2024年6月28日には、ナッジを適切に使い広めるための「ナッジ戦略」がまとめられています。

03自治体にもナッジ・ユニットが広がった

国の動きに続き、横浜市などの自治体でも職員によるナッジ・ユニットが生まれています。

代表例が、2019年2月に設立された横浜市行動デザインチーム(YBiT)です。市の有志職員11名が中心となって始めました。

設立から10か月で、福祉・健康、環境、防災、税などの分野で約30件の事例に取り組んだと報告されています。月例の研究会では、防災や特定健診、市民への通知などを題材にしたワークショップも開いています。

ただし、海外で効いたナッジが日本でも同じように効くとは限りません。環境省も、どんなときに効き、どんなときに効かないかを事例を重ねて確かめることが大切だとしています。

年月出来事
2015年アメリカ派遣から帰国した職員が中心となり、環境省ナッジPT「プラチナ」を設立
2017年4月日本版ナッジ・ユニット(BEST)が発足
2017年度〜環境省が50万を超える世帯の協力で大規模な実証を開始
2017年10月行動経済学の分野にノーベル経済学賞が贈られ、追い風に
2019年2月横浜市行動デザインチーム(YBiT)が設立
2024年6月28日連絡会議の議論をふまえ「ナッジ戦略」を策定
日本版ナッジ・ユニット(BEST)をめぐる主な出来事(環境省・横浜市の公表資料をもとに作成)

あなたの場合は?

あなたの住む自治体から届いた通知で、「読みにくい」「何をすればいいか分からない」と感じたものはありますか?どう書き直せば動きやすくなるか考えてみましょう。

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. 日本版ナッジ・ユニット(BEST)は、2017年4月に環境省の呼びかけで発足した
  2. 省庁・自治体・企業・研究者が対等に参加し、連絡会議で倫理チェックリストやナッジ戦略などを議論してきた
  3. 横浜市のYBiT(2019年2月設立)のように、自治体にもナッジ・ユニットが広がっている

TERMSこのレッスンの用語

自治体版ナッジ・ユニットLocal government nudge unit

市や県などの自治体の中に作られた、ナッジを施策に生かすためのチーム。横浜市のYBiTが代表例。

LESSON 12-2 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. 日本版ナッジ・ユニット(BEST)が発足したのはいつですか。

答えを見る

正解: 2. 2017年4月
2017年4月です。2010年はイギリスのBITの設立、2024年6月はナッジ戦略の策定で、どちらも惜しい取り違えです。

Q2. BESTの体制について、本文の内容と合うものはどれですか。

答えを見る

正解: 2. 省庁や自治体、企業、研究者が同じ立場で議論する
BESTは産学政官民がそろうオールジャパンの取り組みで、参加者が同じ立場で自由に議論できる体制です。

日常の場面で考える

Q3. あなたの市役所で、ナッジを使って通知を見直すチームを作ることになりました。本文の考え方に最も合う進め方はどれですか。

答えを見る

正解: 2. 小さく試して効果を確かめ、効いたものと効かなかったものを記録する
ここがポイント。海外で効いたナッジが日本で効くとは限らないので、事例を重ねて確かめることが大切です。

レッスン12-2はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第12章 公共政策への応用 のレッスン一覧
  1. 12-1ナッジ・ユニット
  2. 12-2日本版ナッジ・ユニット
  3. 12-3政策のナッジ事例
  4. 12-4EBPM

講座の目次(全14章)へ

出典(3件)
  1. 環境省「日本版ナッジ・ユニット(BEST:Behavioral Sciences Team)について」
  2. 環境省(BEST事務局)「我が国におけるナッジ・ブースト等の行動インサイトの活用の広がりについて」
  3. 横浜市行動デザインチーム「設立から10か月の活動成果報告」(2019年12月26日 BEST連絡会議 資料)