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第12章 公共政策への応用 ・ レッスン12-1

ナッジ・ユニットとは?行動経済学を行政に生かすチーム

約4分 ・ 公開日 2026-10-06 ・ 更新日 2026-10-07

このレッスンの問い

役所の手紙やお知らせの書き方を、心理学の知見で工夫する専門チームがあると思いますか?読む前に予想してみましょう。

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

01ナッジ・ユニットは行政の中の専門チーム

ナッジ・ユニットとは、行動経済学などの知見を政策に生かすために、政府や自治体に置かれる専門のチームです。

人がどう考え、どう動くかについての研究の知見。これを政策の分野では行動インサイトと呼びます。行動インサイトを使って政策を良くするチームが、ナッジ・ユニットです。

たとえば、ある市でごみの分別を守る人を増やしたいとします。罰則を重くする前に、お知らせの書き方や回収日の伝え方を工夫できないかを考えます。

大事なのは、思いつきで全員に広げないことです。小さく試して効果を確かめてから広げます。その考え方は12-4で、ナッジそのものの定義は第10章で学びます。

02先がけは2010年のイギリス

最初のナッジ・ユニットは、2010年7月にイギリス政府の内閣府に作られた行動インサイト・チーム(BIT)です。

2011年の最初の年次報告では、BITは内閣府に置かれた8人のチームでした。目的は、人々が自分にとってより良い選択をできるよう、賢い方法で後押しすることでした。

チームは、2012年7月に続けるかどうかを見直す期限付きでした。目標には、かかる費用の少なくとも10倍の見返りを生むことが掲げられていました。

規制や禁止に代わる、または補う手段として、行動の工夫を政府の中に広めることも目標でした。

BITは2014年に政府から独立した組織になり、2021年には英国の団体Nestaの傘下に入りました。いまは世界各地で研究とコンサルティングを行う組織です。

03OECDの調査で見えた世界への広がり

OECDの2017年の報告書では、23か国と2つの国際機関の、合わせて60の公的機関が調査に答えました。

OECDは2015年12月に、各国の機関や実務家のネットワークを通じて調査を送りました。回答した60機関の82%は、中央省庁と、規制や税を担う機関でした。

報告書の分析には、100を超える事例が使われています。分野は消費者保護、教育、エネルギー、環境、税、労働など、とても幅広いものでした。

ここがポイントです。60は調査に答えた数で、世界にあるチームの総数ではありません。報告書自身も正確な回答率は出せないと認めており、全体の数はまだはっきりしていません。

年できごと
2010年7月英国の内閣府にBITが発足
2014年BITが政府から独立した組織になる
2015年12月OECDが各国の機関に調査を送る
2017年OECDが報告書を公表(60機関・23か国と2国際機関・100を超える事例)
2021年BITが英国の団体Nestaの傘下に入る
ナッジ・ユニットが広がった流れ(BIT年次報告2010〜11年、BIT公式サイト、OECD 2017をもとに作成)

あなたの場合は?

あなたの住む町で、ナッジ・ユニットが取り組むとしたら、どんな困りごと(ごみ、節電、手続きの出し忘れなど)を選びたいですか?

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. 行動経済学などの知見(行動インサイト)を政策に生かす行政の専門チームを、ナッジ・ユニットと呼ぶ
  2. 先がけは、2010年7月に英国の内閣府に作られた行動インサイト・チーム(BIT)
  3. OECDの2017年の報告書では、23か国と2つの国際機関の60の公的機関が調査に答えた(総数ではない)

TERMSこのレッスンの用語

ナッジ・ユニットNudge unit

行動経済学などの知見を政策に生かすために、政府や自治体に置かれる専門のチーム。

行動インサイトBehavioural insights

人が実際にどう考え、どう行動するかについて、行動経済学や心理学などの研究から得られた知見。政策の分野で使われる言葉。

行動インサイト・チーム(BIT)Behavioural Insights Team

2010年7月に英国の内閣府に作られた、世界で最初のナッジ・ユニット。2014年に政府から独立した。

LESSON 12-1 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. 世界で最初のナッジ・ユニットとされるのはどれですか。

答えを見る

正解: 1. 2010年に英国の内閣府に作られた行動インサイト・チーム(BIT)
BITは2010年7月に英国の内閣府に発足しました。2014年はBITが政府から独立した年です。

Q2. OECDの2017年の報告書の「60」という数について、正しい説明はどれですか。

答えを見る

正解: 2. 調査に回答した公的機関の数
惜しい選択肢もありますね。60は調査に答えた機関の数で、総数ではありません。報告書の分析に使われた事例は100を超えます。

日常の場面で考える

Q3. ある町が「粗大ごみの申し込み忘れを減らしたい」と考えました。ナッジ・ユニットらしい進め方はどれですか。

答えを見る

正解: 2. 案内の書き方などを工夫し、小さく試して効果を確かめてから広げる
ここがポイントです。行動の工夫を考え、小さく試して確かめてから広げます。確かめ方は12-4で学びます。

レッスン12-1はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第12章 公共政策への応用 のレッスン一覧
  1. 12-1ナッジ・ユニット
  2. 12-2日本版ナッジ・ユニット
  3. 12-3政策のナッジ事例
  4. 12-4EBPM

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出典(3件)
  1. Behavioural Insights Team「Behavioural Insights Team Annual Update 2010–11」(英国内閣府、GOV.UK掲載)
  2. Behavioural Insights Team「Our history」(公式サイト)
  3. OECD (2017) Behavioural Insights and Public Policy: Lessons from Around the World, OECD Publishing, Paris