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第1章 行動経済学とは ・ レッスン1-3

行動経済学は何に役立つ?家計・買い物・政策

約5分 ・ 公開日 2026-10-04

このレッスンの問い

「3つ買うと2つ分の値段」と書かれていると、つい3つ買いたくなりませんか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

前のレッスンの復習(1問)

本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。

レッスン1-2から

Q1. セイラーが整理した、合理的経済人と現実の人のずれに当たるものはどれですか。

答えを見る

正解: 1. 計画を立てても、目先の誘惑に負けることがある
ずれは「考えきれない」「公平さを気にする」「誘惑に負ける」の3つでした。

01自分のお金の判断を見直せる

判断のくせを知ると、自分のお金の使い方が「なぜそうなったか」を説明でき、対策を立てやすくなります。

たとえば、長期の貯金には手をつけずに、高い金利のローンを組む人がいます。お金を目的別に心の中で分けて管理するくせが、余計な費用を生むことがあるのです。

一方で、心の中でお金を分けることは、長期の貯金を守る助けにもなります。くせは悪者とは限りません。仕組みを知れば、くせをうまく使う側に回れます。

02売り手の工夫に気づける

「3つ買えば2つ分の値段」のような売り方は、得をした感覚を生み、値段の感じ方を変えます。知っていれば、不利な選択を避けやすくなります。

2017年のノーベル経済学賞の解説は、割引や「3つ買えば2つ分の値段」といった宣伝が、得をした感覚を生むと説明しています。宝くじの広告が、ごく少数の当選者ばかりを目立たせるのも一例です。

同じ解説は、行動経済学の知見が売り方の工夫を見抜き、不利な判断を避ける助けになるとも述べています。手の届かない品物を買うために、不利な条件のローンを組んでしまう人が多いことも指摘されています。

03強制しないで後押しする政策に使える

行動経済学は、選ぶ自由を残したまま、より良い選択をしやすい環境を整える政策に使われています。こうした工夫をナッジと呼びます。

英国や米国などでは、行動経済学を行政に生かす専門のチーム「ナッジ・ユニット」が作られました。日本でも2017年4月、環境省の呼びかけで日本版ナッジ・ユニット(BEST)が発足しています。

身近な例でいえば、社員食堂でサラダを目に入りやすい場所に置くのもナッジの考え方です。何を食べるかを選ぶ自由は、そのまま残っています。

環境省の実証では、他の家庭との比較などを載せた省エネレポートで、CO2の排出が2%減りました。2017〜2019年度に、50万世帯で確かめた結果です。

ただし、海外で効いた方法が、日本でも同じように効くとは限りません。効果は一つずつ確かめる必要があると、環境省も説明しています。

場面わかること例
自分の家計お金の判断のくせと、その対策貯金があるのに、高い金利で借りてしまう
買い物売り方が判断に与える影響「3つ買えば2つ分の値段」で得をした気になる
政策強制せずに望ましい行動を後押しする方法他の家庭との比較を載せた省エネレポート
行動経済学が役立つ3つの場面

あなたの場合は?

最近「お得だ」と感じて買ったものを1つ思い出してください。お得でなくても、それを買いましたか?

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. 行動経済学は、自分の判断を見直す・売り手の工夫に気づく・政策に生かす、の3つの場面で役立つ
  2. 選ぶ自由を残したまま、より良い選択をしやすくする工夫をナッジと呼ぶ
  3. 海外で効いた方法が日本でも効くとは限らない。効果は一つずつ確かめる

TERMSこのレッスンの用語

ナッジNudge

選択を禁じたり、経済的な損得を大きく変えたりせずに、人の行動を予測できる形で変える工夫。英語で「そっと後押しする」の意味。

ナッジ・ユニットNudge unit

行動経済学などの知見を政策に生かすために、政府や自治体に置かれる専門のチーム。

日本版ナッジ・ユニット(BEST)Behavioral Sciences Team

2017年4月に環境省の呼びかけで発足した、府省庁・自治体・企業・研究者などが連携する日本のナッジの取り組み。

LESSON 1-3 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. ナッジの説明として、最も適切なものはどれですか。

答えを見る

正解: 2. 選ぶ自由を残したまま、より良い選択をしやすい環境を整えること
ナッジは、選択を禁じず、経済的な損得も大きく変えずに行動を後押しする工夫です。禁止や大きな補助金はナッジではありません。

日常の場面で考える

Q2. スーパーで「2個目半額」の表示を見て、1個だけ買うつもりが2個買いました。行動経済学から言えることとして、最も適切なものはどれですか。

答えを見る

正解: 1. 売り方が「得をした感覚」を生み、判断に影響した可能性がある
割引の見せ方は、得をした感覚を生み、値段の感じ方を変えます。本当に2個必要だったかを一度考えると、不利な選択を避けやすくなります。

Q3. ナッジの効果について、環境省の説明に合うものはどれですか。

答えを見る

正解: 2. 海外で効いた方法が日本でも効くとは限らず、効果を一つずつ確かめる必要がある
ここがポイントです。文化や条件が違えば効果も変わりえます。だから、実証して確かめながら使います。

レッスン1-3はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第1章 行動経済学とは のレッスン一覧
  1. 1-1行動経済学とは
  2. 1-2合理的経済人
  3. 1-3行動経済学の使い道

講座の目次(全14章)へ

出典(3件)
  1. NobelPrize.org「Popular information: Easy money or a golden pension? Integrating economics and psychology」(2017年 経済学賞の解説)
  2. 環境省「日本版ナッジ・ユニット(BEST:Behavioral Sciences Team)について」
  3. 環境省 日本版ナッジ・ユニットBEST「『ナッジ』とは?」(PDF)